Take On Me
- 2010/04/14(Wed) -
それは遠い遠い昔、25年前、インターナショナルスクールに通う当時19歳になる12年生
(高校3年生)の頃、私は当時爆発的大人気だったa-haのモートン・ハルケットの熱狂的
大ファンでした。
熱に侵され発狂していたとしか思えないくらい、下敷きから手帳から何から友達も呆れる程
モートンの切り抜きだらけだったのです。部屋には当時お付き合いしてましたブラジル人の彼が
ウンザリするほどデカデカとモートンのポスターが。(笑) 

その頃a-haはブラジルで超人気で、きっと日本でも人気がありましたよね。

こちら↓のPVは取り憑かれたかのように何度も観て(懐かし過ぎます!)、また、モートンが
載っている雑誌は全て購入し、学校でも暇さえあれば彼をうっとり眺め、PVのようにアニメに
なってでもいいから出てきてくれないかな~~~、出てきて~~~、御願い~~~~~!と、
危ないくらい強く激しく念じていました。^^;;;



そんなある日のこと、風邪で体調を崩し、2~3日学校を休み、やっと治って登校しましたら、
友達のCが大興奮で私のところへ駆け寄ってきました。

「マリア、ビッグニュースよ!!あなたが休んでた間、モートン・ハルケットに超ソックリな
クールなスイス人が転校してきたの! もう、彼はまさにモートン! どっから如何見ても
モートンなのよ!彼はきっとモートンを激しく意識してるわね。だって、あの髪型だって
モートンソックリです~~~~っごくキュートで似合ってるの!丸であの、take on me の
PVから抜け出してきたみたいって、女の子達が大騒ぎよ!」

「うそぉ~~!!!それは楽しみ!で?どこに居るの?何年生?見たい見たい!!!」

「驚 かないで!私達と同じ12年生なのよ!・・・ただねぇ、残念ながら彼はスイス人だから
私達とは違ってジャーマンスクールなの。あちこち外国転々としてるみたいだから英語も
一応話せるらしいけど・・・ 惜しいわね ・・・あと、バスケ部に入ったみたいだから、
午後は女の子達の黄色い声で既に大変よ。」

と、興奮しながらC。

しかも、私と同じでちょっとわけありっぽく、年齢が通常の12年生よりひとつ年上、私と同じ
1966年生まれの19歳だったのでした。 私がそれまで生徒の中では最年長だったのに、
同じ年の年長12年生なのです。

お洒落で品があって、静かな微笑み&ヤンチャな振る舞いのギャップが素敵で、兎に角モートン
ソックリという話題だけでも すぐに学校の人気者に。

私はといえばただただ舞い上がり、当たり前ですが遠くから眺めるだけで大満足で、近寄ることなど
できず、卒業前に一度だけ記念に一緒に写真でも撮れたなら・・・日本の友達に自慢できるなどと、
ストーカーチックに彼がバスケをやっている所や友達同士で遊んでいるところを隠し撮りしたり等
今考えると犯罪にかなり近い大変怪しい迷惑行為を友達としていました。


ある日のこと。

友達と学校のテラスでランチを食べていると、不意に後ろから

「Are you from Japan? I mean, are you Japanese?(日本から来たの?っていうか、君日本人?)」

と、英語で声をかけられ、振り向くとそこにはなんとモートン似の彼 が!!!

至近距離の彼に心臓が口から飛び出そうになるくらいビックリし、思わず口に含んだおにぎりを
噴出しそうになりました。

それでも口の中のおにぎりを無理矢理ゴクンと飲み込むと、小さい声で

「イ、Yes, I'm Japanese. 」 と、頭ばかり大袈裟に縦に振り答えると

「良かった! 僕は日本に住んだことがあります。 おにぎり?(笑)」

と、彼はとっても嬉しそうに私が食べかけのおにぎりを指差し、日本語で喋りはじめたのです!!

・・・日本語を喋り出す彼に、驚きの余り信じられず呆然とする私・・・微笑む彼。ざわめく周囲。
 
「僕の名前は L です。 よろしくね。」 

と、屈託のない笑顔で握手を求め手を差し伸べるモートン・・・じゃなくてL。

「あの・・・ マリアです・・・。 おにぎり、食べますか?」

「ありがとう、マリちゃん。^^」

そう言いながら、ランチボックスの中のおにぎりではなく、私が手に持つ食べかけのおにぎりを
取り、美味しそうに頬張ると 「ヤミ~!(美味しい!) 」 と言い、去っていきました。


・・・ モートン・・・ じゃなくて、Lが日本語を喋った・・・


あまりにも出来すぎたシナリオについていけず、私は頭にぼ~~っと血がのぼり、周囲の騒ぎも
耳に入らないほど、フラフラ夢心地になりました。
(夫との出逢いもかなり出来すぎたシナリオでしたが・・・ 出逢いって不思議ですね)

・・・ PVに向かって、出てこ~~~いと唱えて念が通じたのか・・・ と、自分の想念の
強さに怖くもなりました・・・ 


それから何かとLは私に声をかけてきました。 周りの女の子達から嫉妬されながらもLとの
夢のようなひとときが信じられず、日本語を話せることの喜びや、私に向けてくれる優しい
微笑みにすっかり夢中になってしまいました。 
日本語は何だか、私たちの秘密の暗号言葉のようになっていま した。 

LはLで懐かしい日本語を使い、日本での話を私にしたくて仕方がないといった感じでした。

日本に住んでいた頃着物を着て写真を撮ったことがあるんだよと、Lが学校に懐かしい写真を
持ってきた次の日、私は浴衣で登校し、Lを驚かせたり。 Lの家は学校のすぐ裏にあり、
「ランチ、一緒に食べましょう。スイスの料理、おにぎりのお礼。^^」
と、ランチにオイルフォンデュ&チーズフォンデュを用意してくれていました。私にとっては
生まれて初めてのフォンデュでした。

しかし、既に私にブラジル人の恋人がいるということを知っている友達からは 
「あなた、Lに crushしちゃってるみたいだけど大丈夫?気持ちはわかるけど、彼氏は知ってるの?」 
と、心配されましたが、友達からの忠告はcrushした私の耳には全く届きませんでした。


そんなある日、

「デートしますか。 ^^」

と、笑顔を向けるL。  その笑顔に私は断わることができませんでした。

学校が終わり、約束した待ち合わせ場所へ向かうと、既にLは私を待っていてくれました。

出かけた先は、有名な観光地、カステロ要塞。

要塞内を歩きながら、他愛もない会話が続きました。


「ボクは、色々な国に行きましたよ。」

と、L。  

「いいわね、私は外国なんてブラジルがはじめて。^^ どんな国 に行ったの? 
どこが一番素敵だったの?」 と、尋ねると

「日本が大好きな国です、一番思い出が、沢山あります ・・・  とても美しい国です。
そして、マリちゃんも美しいですよ。」

と、言いながら彼はブルーの澄んだ瞳で私をじっと見つめ、唇を重ねてきたのです。


 ・・・ その時、ハッと我れに返りました。


「あ、あの・・・ あのね、私・・・  私には、恋人、 そう、boyfriend がいます。 
あなたと仲良くすると、彼はとても心配します。」


「・・・  boyfriend?!」

そう言いながら、彼は私の体からゆっくり手を離しました。


「・・・・  私、言わなかっ たから。 ごめんなさい。 あなたが素敵すぎて、
デートしたくて・・・ 私、ずるいね。 ごめんなさい。 」

俯く私。  黙りこむL。


暫くの沈黙の後、

「彼は誰ですか?同じ学校?」  と、Lが笑顔で尋ねてきました。

「違 います。ブラジル人です。 あなたほどカッコよくはないけど・・・ 日本語も
喋れないし、でも、とても温かくて、とても強い人です。 彼を大切 に大切に思っています。 
私は彼と約束しました。 来年、結婚することを、決めてます。 彼を愛しています。」

「そうですか・・・ 。」

「でも、今日は夢のようで・・・ 本当にとても楽しくて、そして嬉しかったです。 
それくらいあなたは素敵な人です。 ありがとう。」

「学校で、これからも、仲良しですか?友達ですか?」

「勿論! 友達よ。^^」

「約束ですか?」 と、ニッコリ微笑み小指を差し出すL。

「はい。約束します。(^^」

そこで、ふたりは日本式の指きりげんまんをしました。


翌週、学校で私たちは一切口を閉ざし、結局、会話することもありませんでした。

たまに、遠くで目が合うと、静かに微笑み合うくらいでした。

Lは卒業を待たず、さよならも言わず3ヶ月後突然引っ越してしまいました・・・。 


ちょっとした、若かりし頃の思い出です。

とても懐かしい過去をふと思い出してしまいました。

会いたい時になかなか会えなくて寂しくて、会えば会ったで煩いお小言お説教とかするし、
理屈っぽくて頑固だ し、ブラジル人なのに冗談通じなくて融通利かないし・・・ でも、
そんな彼がとても愛しく大切。

私は、L ではなく、モートンとデートしていた・・・ take on me のPVアニメの中に
いたんだ・・・ そう思いました。



L とカステロ要塞で別れた後、私はすぐに恋人のもとへ走り、彼を見つけるとすぐに
謝りました。

「・・あの、ごめんなさい、私・・・ 」

深刻な私の表情に彼は妙に落ち着いた表情で

「・・・ 別れたいんでしょ? 」 と。

「・・・ え? どうして・・・ そんなことを言うの? 」 と、ビックリして尋ねると

「それは君がよく知ってることだよね?」 と。

ズキンと心が痛み、血の気が引き、沈黙する私の瞳からは涙が滝のように・・・ブラジルが
あんなにも寒く感じる日ははじめてでした・・・

「大丈夫。(笑)マリアが幸せなら、それでいい。彼の方がきっと、マリアに相応しい。」

「そうじゃないの! 違うの・・・ 私、気持ちが揺らいだことをあなたに謝りに来たの。
もう、知ってるみたいだけど・・・ そう、あなたが言う通り、ここ最近私、周りが見えない
くらい彼に夢中になってた。 でも、それは彼じゃなくて、モートンに似た彼だったの。 
ミーハーな、愚かな気持ちに気づいたの。たった今、モートン・・・ じゃなくて、Lにも
正直に話してきたわ。私には大切な人がいる・・・ そして、その人をとても愛している・・・  
って。私、バカだから、本当に、自分にとって大切な存在を忘れかけていたの・・・ 許して
もらえないとは思うけど  ・・・ さっき、彼にキスされて・・・あ、ごめんなさい。キス
しちゃった・・・ でもね、それで目が覚めたの。これは違うって。 オカシイわよね、
キスされて恋に落ちるんじゃなくて、目が覚めるだなんて・・・ もう、言い訳はしないわ。 
だって、私と別れたいのは貴方の方 だと思うから。」

私は泣きながら、そして物凄く緊張し、震えながらも精一杯、気持ちをポルトガル語に託しました。

「・・・ 浮気者は、先が思い遣られる。 」 と、彼。

「・・・・ 」 返す言葉もない私。

「 ・・・ 君より随分大人で冷静な積りでいたけど、正直今回は自分の嫉妬深さに
情けないくらい思い知らされたよ。 しかし相手がモートン・ハルケットじゃ太刀打ち
できないしね。  君が熱狂的だったのは知ってるし。 困ったヤツが転校してきたなと
思ってたんだ。しかも日本語が喋れるだなんて・・・。神様も物凄 い試練をお与えに
なったものだ。(笑)」

と、笑う彼。

「・・・ 別れたいんじゃないの? 許してくれるの?」 と、恐る恐る尋ねると

「許すも許さないも・・・私は君を愛しているし、そして君はこうして正直に告白して
くれてあらためて私を愛していると言ってくれて・・・ これ以上私にとって嬉しいことって
あるだろうかと思うよ。 こちらこそいつ、君から別れを切り出されるか内心ビクビク
していたんだ。だから、すごくホッとした。 正直に話してくれてありとう。」

そう言って私を抱き寄せる彼。  

「御免なさい。(涙) もう二度と、こんなことにならないよう約束するわ・・・。」

彼の温かさにあらためて触れ、緊張が取れるとその有り難さに号泣し、心から悔やみ謝る私。

「もういいよ。 モートン・ハルケットより私を選んでくれたんだから。(笑)
本当に、戻ってきてく れてよかった。^^」


気づけばそこは彼の職場で、周囲は人人人。
それでも構わず彼とハグし続け、心から幸せの有難さを感じていたのでした☆


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・・・という話を3年ほど前パスワード日記に書かせて頂きましたが(結局、恋人とは哀しい
事情で結婚ができなくなってしまいましたが)なんと、この度ベルギー行きが決まりましたと
同時に、数年前友人に誘われ入会していました同窓生が集うSNSサイトにそのモートン・
ハルケット似の彼、Lが登録し、私にコンタクトを取ってきたのです!(汗) 
今、彼は母国スイスに住んでいるとのこと、顔写真は昔のままの彼に(というより何か昔より
渋く落ち着いて)、ドキドキしないといえば嘘になります。

私がベルギーへ引っ越す事になったとプロフィールにて知らせましたところ、ヨーロッパに住む
同窓生達が異様に盛り上がり、ヨーロッパ組で同窓会をしよう、集まるならベルギーが中間地点に
なるから良い、という提案を勝手にしはじめ、Lも積極的に出席予定とのこと。

夫は25年前のLとの思い出につきまして既に話して知っていますが、まさかこんなカタチで
再会の機会が訪れるとは夢にも思っていませんでしたので・・・

まだベルギーへ行ってみなければわかりませんが、幸い夫は英語が堪能ですから、もしも同窓会が
開かれるなら夫同伴でと思っています。

もう25年前とは違い、皆大人なのですから、家族同伴で会いましょうよと強く提案する私は
何とか健全に楽しく懐かしい再会ができるよう努めたいと思っている次第です。^^;


しかし神様は色々としつこく試してくださるものなのですね。^^;


そりゃドキドキしないといえば嘘になりますが、それでも夫に適う人など居ないに決まってる
じゃないですか。^^


Lもまさか、私と再会できるなどとは夢にも思っていなくて、奥さまにも同じように私との
若かりし頃のブラジルでの思い出を(可也美化して)語っていたそうです☆

本当は思い出のままもう会わない方が良いのでは、とも思いましたが、お互いが今元気に生きて
いるということが確認できたのなら、生きているうちに、会いたいと思う人と会える時に会って
おきたい、という彼の言葉に心を動かされたのです。なので同窓会への出席を決めました☆

お陰様で健全に楽しく懐かしい再会が出来そうです.^^ 再会しましたら、今度は息子がLの
美しいお嬢さんに一目惚れしてしまうかも☆

歴史は繰り返される・・・かも。^^
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